矯正治療について

  • 矯正治療の特徴
  • 治療の目的

 

矯正治療の目的と対象

矯正治療を開始する前に、何を・どこを治したいのか治療目的を明確にしましょう。
矯正治療の目的には、大きく分けて「機能的改善」「審美的改善」「心理的改善」があります。

機能的

噛み合わせ(咀嚼・咬合)、歯・歯周組織の健康(虫歯・歯周病になりにくい歯並び)、顎運動(顎関節の動き、開閉・前後左右)、発音、呼吸(鼻呼吸)、閉唇不全・悪習癖等の改善。

審美的

口元(突出感、前歯の凸凹、歯肉の見え具合:ガミースマイル)、左右対称性・正中の一致、横顔の凹凸(プロファイル)等の改善。

心理的

治療結果に対する満足度、自信、表情等の改善があります。

矯正治療の対象となるのが「歯」「上下の顎骨」「それらを取り巻く部分 : 唇、頬、舌等」です。
それぞれが関連し合い、形態・機能が悪いことで不正咬合になったり、逆に不正咬合のために形態・機能が悪くなることがあります。
単に、「歯」だけを治すものではないのです。

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矯正治療の特徴

矯正治療には、一般的な治療と比べ以下のような特徴があるため、しっかりと理解する必要があります。

全ての歯を治します

部分的な治療もありますが、原則として全ての永久歯を治療対象とします。
冠を装着している歯、神経をとっている歯も移動が可能です。
ただ、怪我などにより歯根と骨が癒着している場合は動かないことがあります。

治療時間・期間が長くかかります

毎回、口腔内全体を清掃しながら矯正治療を行なうため1回の治療時間が長くかかります。
そして、歯を骨の中で移動させるので、1か月の移動量は僅かで治療期間は長くなります。
さらに、顎の成長を診なければならない場合は、成長が終わるまで治療が続くことがあります。

特殊な装置が必要です

取外しのできる装置(可撤式装置)もありますが、しっかりとした噛み合わせにするには固定式の装置(マルチブラケット装置)が不可欠となります。従って、装置をはずせないため毎日の歯磨きが大切です。また、歯に矯正力が加わると数日間「痛み」を伴うことがあります。

一部を除き、保険外治療となり費用がかかります

顎変形症のような顎の手術が必要な場合、また、厚労省が認める咬合異常を伴う種々の疾患に対しては保険適応となりますが、それ以外の一般的な不正咬合に対しては、保険外(自由)診療となり高額な治療費が必要となります。
(「矯正治療のQ&A」をご参照下さい)

ここで一つ情報がございます。
厚労省による報告において、日本人の生涯に必要となる医療費の合計(生涯医療費)は2017年度推計で、男女平均2,700万円(男性2,600万円、女性2,800万円)、さらにその半分が70歳以上から必要であるとのことです。(厚労省HP資料85-87頁参照※)
実は、歯科医師会では 「8020運動」(80歳で20本以上の歯を残そう!)を推進していますが、
歯の残存数が少なく歯周病があるほど医療費が多くかかるという報告熊本県の調査では8020運動達成者は年間医療費が30万円以上も少なく、さらに、65歳以上で自分の歯がほとんどなく入れ歯を使っていない人は、歯が20本以上残っている人に比べ、介護が必要な認知症になる可能性が1.9倍高くなることが厚生労働省研究班の調査でわかりました。

いかがですか?

矯正治療で何本か歯を抜いても、残りの歯をしっかり噛ませることにより生涯自分の歯で生活をする。
一生涯の医療費は大幅に減り(= 健康)、認知症予防効果(= 生活の向上 QOL)にも繋がる。何よりも素敵な笑顔で暮らせます。
一般に、矯正治療は高額と言われていますが、治療によって得られる結果は、その後の人生に大きな役割を果たしてくれるでしょう。

歯ブラシとコップ・朝の歯ミガキのイメージ

矯正治療装置が外れた後の管理が重要です

残念ながら、矯正治療では装置が外れても治療が終わったわけではありません。
そのままにしていると「後戻り」といって、部分的、全体的にズレを生じます。
そこで、噛み合わせが安定するまで保定装置というものを装着する必要があります。(「治療後の管理」をご参照下さい)
また、定期的に口腔内管理(虫歯、歯周病の予防)も大切になります。

患者さんの協力、自己管理が極めて大切です

良い治療結果、そしてその長期安定には術者の学識、技術、経験が必要なのは当然ですが、それと同様に、患者さんの協力、自己管理、良い治療結果を出そうとする気持ちが極めて大切になります。診療所に通えば治るというものではありません。
不正咬合の原因、治療の方法・装置・期間、注意点等の説明を十分受け、納得してから治療を開始しましょう。
そうすれば、素晴らしい結果が期待できます。
矯正治療をする・しないは、あなたにとって人生の分水嶺になるかもしれません。

矯正歯科治療に伴う一般的なリスク・副作用、注意点があります

  • むし歯・歯周病の治療は必要ですが、矯正相談・検査を受け、それぞれの症例に適した治療の順番(治療方針)に沿っていただくと、よりスムーズな治療が受けられます。
  • 装置の選択に際し、金属アレルギーがないかお知らせください。
  • 歯と骨が癒着して歯が動かないことがあります。以前、歯をぶつけたりしたことがある場合はお知らせください。
  • もともと歯根が短い短根歯では、治療後に歯根が吸収して短くなる場合があります。
  • 凸凹が強い部分や成人症例においては、治療と共に、歯と歯の間の歯茎に隙間を生ずることがあります(ブラックトライアングル)。
  • 矯正装置の装着・調整後、歯に痛みや動揺が生じたりしますが、1、2 週間で慣れることが多いです。
  • 歯の移動と共に知覚過敏(歯がしみる)ことがあります。また、ごく稀に歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。必要に応じて処置を受けてください。
  • 治療中に顎関節症状(口が開けにくい、カクカク音がする、顎が痛い、等)が出ることがあります。
  • 矯正装置により、虫歯・歯周病へのリスクが高まりますので、正しい歯磨きの仕方が大切となります。
  • 治療中、指示を受けた装置(顎外装置、口腔内ゴム、等)の使用を守りましょう。
  • 患者さんの協力が、より良い治療結果につながります。協力が不十分ですと、治療期間・結果に悪影響が生じ、
    治療方針を変更する場合があります。
  • 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂を生じたり、被せ物(冠など)の一部が破損することがあります。
  • 装置を外した後で、噛み合わせに合った被せ物やむし歯の治療が必要になることがあります。
  • 後戻りを防ぐ装置(保定装置:リテーナー)をしっかり装着しましょう。
    後戻りが生じた場合、再治療が必要となる場合があります。
  • 親知らずがある場合、治療後の安定を考慮し、その対応については主治医にお聞きください。
  • むし歯、歯周病、加齢、食習慣、習癖等、様々な原因で噛み合わせが変化することがあります。
    治療後も定期健診を続けることが長期安定にとって大切です。

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治療の開始時期

結論から申しますと「患者さんがやりたいと思った時」が開始時期だと考えます。
それは、上記のように、矯正治療には期間(長期)、装置(複雑)、料金(高額)といった特徴があり簡単な治療ではありません。個々の不正咬合の状態、開始年齢によっても治療方法は様々です。
従って、十分な説明を受け、その内容に納得をした上で治療を開始して下さい。
また、ただ通院すれば良い結果が出るものでもありません。
患者さん自身がやる気をもって治療に協力し努力することが大切です。

一般的には、治療結果という点だけで「治療開始時期」を考えると、やはり小学校の低学年頃から開始した方がより良い結果となります。
それは、口腔内管理を十分できるので永久歯を虫歯にさせない、顎の成長管理ができる、悪習癖(舌癖、指しゃぶり)への対応が早くできる、等の理由からです。

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動画で見る治療症例

治療後の管理(保定)矯正治療完了後のメンテナンス方法や後戻りしないためのポイントを紹介。

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